1997年の「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」施行後、国内におきましては、各医療機関における治験実施体制のより一層の整備が図られ、また1999年には「治験を推進するための検討会報告書」が提出され、その中で医療機関の治験業務の一助としてSMOの活用が示唆されました。
さらに、厚生労働省から「SMOの利用に関する標準指針策定検討会報告書」が出され、SMO(治験施設支援機関)の定義が公に示されることとなりました。
SMOがこのように医療機関の治験に関する業務の一部を代行する業として、その重要な役割を担うべく期待が益々高まってきたことにつきましては、貴社ともども我々SMO業界にあるものとしては嬉しく感じるとともに、その責から大変身の引き締まるところでございます。
現在、多くの企業がSMOを業としてその活動を行っており、また業界全体として捉えるとライフサイクルの導入期から成長期に移行する過程にあると言え、その成長速度も上方への屈曲点に差し掛かった観があります。
しかしながらその一方、多くのSMO企業が、それぞれ独自の活動を行うにとどまり、また一部には産業障壁が低いことによる多数乱戦業界の様を呈しはじめているところです。
通常、新規業界においては、各参入企業における経済的・技術的特性等の基本的な違いや多種多様な成長過程の違いなどが認められますが、SMO業界につきましても現在の状況から、その基本となる技術特性や市場性をもとにSMO業界全体としてのあるべき将来構造についての検討を真剣に始めるべき時期が今まさに訪れて来たように感じます。
「日本SMO協会」の活動内容につきましては、単なる情報交換の場に止まることなく、積極的にSMO業界としての諸問題について調査・検討等を行っていく場と考えております。
厚生労働省や日本製薬工業協会等、関係諸団体とも意見交換等を行いながら推進していく所存でございます。
なお、本協会設立の趣旨は、SMO業界の健全な発展とそれを期待する医療業界のために、貴社を含めたSMO各社が自身でその活動を行うことにあり、従いまして本協会の設立ならびにその後の協会運営や活動等につきましても、ご賛同頂きました各社各位のご協力のもとに進めさせて頂ければと考えております。
SMO業界の現在そして将来に課せられた使命を捉えれば、今、業界が一団となって、そのイノベーションや品質・技術等の向上に向かうために積極的な検討を開始する必要があり、また、その活動がこのSMO業界に属する各社の将来の財産になると確信いたします。
以上、本意につきましてご賛同いただき、「日本SMO協会」の健全な育成のためにご指導、ご鞭撻いただければ幸甚です。
2003年4月3日
日本SMO協会